行政書士試験の一般知識科目

一般知識科目の配点は、五肢択一14問56点となっています。
例年は第47問〜60問まで、最後の科目です。

そのうち出題は、例年、
1,政治・経済・社会(6問)
2,情報通信・個人情報保護(5問)
3,文章理解(3問)
との振り合いになっています。

気をつけなければならないのは、一般知識科目は足切り点がある、ということです。
56点(14問)中、4割以上取る必要があります。
少なくとも6問正解しなければなりません。

具体的な出題内容

とはいえ、範囲が広いので満点こそ困難ですが、4割以上というのは意外と楽にクリアできそうです。
平成18年の行政書士試験制度改革以降、一般知識の出題内容も変わっており、平成17年までに出題されていたような日本史問題、思想史問題などはなくなり、行政や法律に関連のある事項が問われるようになっています。
その意味で、平成17年以前より対策が簡単になった科目だといえそうです。

例題を一つ挙げてみます。

財政投融資制度に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1,財政投融資は、郵便貯金や銀行預金、年金保険料などを原資として、社旗資本整備などの分野に低利で融資・出資を行う制度として創設された。
2,特殊法人等の財政投融資機関は、国の財政融資資金特別会計からの借り入れにより必要な資金総額を調達しなければならない。
3,国の財政融資資金特別会計は、特殊法人等に貸し出す資金を調達するために、財投機関債を発行している。
4,財政投融資計画額を使途別に見ると、最近では生活環境整備の占める割合が最も高くなっている。
5,国の財政投融資資金特別会計における預託金残高を見ると、現在、その規模が最も大きいのは公的年金の積立金である。

(平成18年49問 正解は本ページ末に記載します)

これは経済からの問題です。
今すぐ正解を出せ、というのではなく、問題のレベルだけ眺めてやってください。
政治・経済・社会からの6問は、だいたいこのレベル、すなわち学問的っぽいけれど大学レベルというほどでもなく、普通に本を読んでいれば正解できそう、というレベルだと思いませんか?
ちなみに政治・経済・社会のなかでは、これは比較的難しい部類の問題だと思います。

これに対し情報通信(5問)のうち、インターネット関連の問題が1問出ることが多く、これはお手上げというかなんというか、お花畑なことが多かったりします。

コミュニティ型の会員制サービスを提供するWEBサイトを指す。既存の参加者からの招待がないと参加できないというルールになっているサービスが多いが、誰でも登録できるサービスも近年では増えている。

(平成19年57問一部抜粋 正解はSNS)

そんなもん知らねぇオッサンは知らんだろ、と言いたくなる問題ではあります。いやいや知ってなければいかんのか、と。逆に聞きたくもなったり。
まあさすがにSNSぐらいは知ってますけどね……逆に詳しすぎると分からなくなるんじゃないか(平成19年当時でも、招待制ってMixiぐらいだったような。メジャーどころのFacebookやMyspaceはオープンだったような)。

Web2.0とは、ネットワーク型、双方向型の高度な機能を有するビジネスを、旧来のビジネスモデル(1.0)ち比べた表現である。

(平成20年57問 正解は○)

いやーどうでしょう(笑)、ある程度詳しい人だったら「Web2.0とか、言ったもん勝ちのただのはったり」とか言い出しそうなんですが。

まあこういう具合のお花畑が真っ盛りなので、勉強のしようがない1問だったりします。
しかし情報通信の残り4問は、個人情報保護法・行政機関個人情報保護法からの出題なので、これはきちんと点の取れるところです(政治・経済・社会よりも対策は簡単です)。

文章整理は、慣れです。
慣れさえすれば、安定して点の取れるところです。
公務員試験の問題集などを参考にするのが良さそうです。

勉強方法

六法全書の紹介のページでも書きましたが、行政書士試験に限らず、法律資格試験の場合、三種の神器と呼ばれているのが、
・ 基本書(教科書)
・ 条文(六法)
・ 過去問集
この三つです。

参考書としては、早稲田セミナーの「SUCCESS行政書士 一般知識」(1,800円)をオススメします。試験範囲の重要部分をほぼ網羅しており、ベースとして利用できると思います。

また、過去問集としては、やはり早稲田セミナーの「SUCCESS 行政書士過去問 一般知識」(2,900円)をオススメします。

一般知識に限りませんが、過去問は早稲田セミナーのSUSSECCシリーズが最善だと思います。
六法全書ではオススメの週刊住宅新聞社ですが、過去問や参考書に関しては止めておいたほうが無難です。
理由は簡単で、問題数不足です(過去問は20年分ぐらいないと意味がない)。
ちなみに本屋で平積みにされている過去問や参考書の多くは週刊住宅新聞社のです。
それ買うと落ちます。いやマジで。いや経験者談ですし。

それはともかくとして、参考書・過去問だけでなく、幅広く本を読んで準備しておく必要があります。
過去問を一通りやって目処をつけて、いろいろ本を読んで調べておく、という態度が良いでしょう。
政治学や行政学、行政改革に関する簡単な入門書(政治問題対策)、特に環境問題の本(社会問題対策)は必須です。
受験年のメジャーな環境問題(平成20年頃だと京都議定書とかCOP21とか、そういう類のメジャー論点)は要チェックです。
少子高齢化問題や介護保険、社会保険制度あたりも読んでおくと良いでしょう。
このあたりの本はわざわざ買う必要もなく、簡単に読める本を図書館で探して、借りて読めば十分です。

とにかく政治経済社会は6問中なんとか半分取りましょう。そのためには過去問だけでなく、幅広く本を読んでおく。これが必要です。
情報関係はしっかり押さえて5問中できれば4問取りたいです。ここは過去問、参考書をしっかり読めば、お花畑の1問を除いて、きちんと点が取れます。
文章理解は3問全問正解で。ここは慣れ。
本を読む時間を別とすれば、準備は30時間(2時間×15日)もあればできるでしょう。
問題は本なんですよね。そこは運です。


正解は3。